気分は上々 7

2018-04-11

Tag :

<4/5の続き>
受付のあるコンテナの前、フィニッシュラインの引かれたテーブルトップに、「L1」と描かれたボードが翻った。オレンジ色のジャケット、mori-sanの右腕が、大きく大きく回される。その視線に、VFX-Wのバイザーを小さく上下させて、背中で音を聞く。聞こえてくる排気音も、ひときわ大きくなった。

コーナーのインとインとをつないだ最短距離から外れて、CRFがホームストレートに大きなS字を描いて走る。歴戦の使い手は、たとえ練習であっても、そんな遠回りは走らない。バンクの頂点を得意げに切り返す足下で、右腕をきれいに折り畳むようにしてもう一つCRFが、第1コーナーをえぐっていく。

「追い上げられて、自分を見失ってはいけない」

バンクを蹴って下りながら、ひとつ大きく息を吐き出し、3速、4速とシフトペダルを掻き上げる。開きっぱなしのスロットルにシフトドラムがうまく噛み合わず、4速になり損ねた4ストローク150ccがまた、けたたましくオーバーレヴする。その爆ぜる音をまとい408コーナーを抜けるゴーグルレンズの端、映る師匠のCRFをわざと見ないようにした。

<つづく>
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気分は上々 6

2018-04-05

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フルサイズの長い脚に甘えていた体が、浅いギャップに深く叩きつけられる。

愛機のRM85Lなら、まだ我慢できるのかもしれない。ただ、この4ストロークの150ccは、いとも簡単にサスペンションが底をつく。それでも練習走行、予選、ヒート1と走り続けて、ようやくその重さにも慣れてきた。CRFのステップに立ち上がり、左膝の具合に折り合いをつけながら、とにかく逃げて、逃げて、逃げる。

乾ききったかすみがうらの感触が宿る体に、408コーナーの食いつく山砂がなつかしい。どこから開けても、まったく転ぶ気がしない。それなのに・・・727を着けた同じCRF150RⅡは、離れてはくれなかった。408の刻まれたコーナーを折り返して行き違うたび、その距離は少しずつ、だけど確実に詰まってきていた。

<つづく>

気分は上々 5

2018-04-04

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<3/21の続き>
3つ目の右コーナーをすり抜け坂を駆け上がるまでに、もう誰も見えなくなった。

前に出たとたんにそれまでの勢いが消えてなくなり、両腕は何かを守るようにぎこちなくハンドルバーを動かす。一瞬、速いのか遅いのかがわからなくなって、コーナーをたどたどしく回る4スト150ccマシンにいらついては、自分を恨めしく思うようになる。妙にちぐはぐなフープス、4つのコブを過ぎて折り返し、短く直線を加速。右に直角に折れるコーナーの入り口で、わずかにフロントタイヤが外に揺れた。

右のつま先が土を蹴り、少し傾げたCRF150RⅡが斜めのまま、続く斜面から跳び上がる。

もう一つ、小さなテーブルを跳び越すと、暗がりに坂が延びている。湿った坂の途中、馴染んだ2ストロークマシンと同じタイミングで右手を返すと、CRFは失速。そこから車体を捻って右手を開けば、右から山肌が迫り来る。明るさの中に戻っていくと、大きなテーブルトップの下から、今度はウェーブが待っている。ヒート1でズレた左膝は、キャップにかすかな痛みを残すだけで、しばらくは耐えてくれそうだった。

ここをスタンディングで走れているうちに・・・2つの車影を後ろに引き連れて真っ先に2周目に入ると、後になってそれは、「オープニングラップ賞」と名の付いた一枚の小さなチケットになった。

<つづく>

気分は上々 4

2018-03-21

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<3/11の続き>
一気に右手がフルスロットル。

山砂を蹴散らして、ホンダエンジンがすぐに唸りを上げる。

ンババババババババ、バババ。

かまうことなくそのまま傾斜を駆け上がれば、727のゼッケンが目の前で翻る。真後ろに着けたマシンが居ること、それが同じ4ストローク150ccであること、そして前を譲れないライダーであること。右手を軽くあおると、一瞬ヘルメットが揺れて、すべてをわかった師匠のCRFが外に大きく泳いだ。ヒート2最初の408コーナー、重なるように立ち上がった2台のCRFは、外に流れた方がわずかに遅れて続く第3コーナーになだれ込んだ。

結局、この細い背中を見続けたままチェッカーを受けた午前の一番、このまま引き下がるわけにはいかない。早く仕掛けておかないと、二の舞だ。ここではめずらしくインからマシンを外にはらませて、強引に真横に並んでみせる。「譲った方が負ける」、そう言い聞かせるように右手を捻り、727のゼッケンをそのまま外へと押しやった。

<つづく>

気分は上々 3

2018-03-11

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<3/7の続き>
「明後日」を向いたまま、集団から離れて加速を続けるCRF150RⅡ。ギヤが3速に入るとすぐにフロントタイヤがバンクの斜面を掴み始め、そこから右手の甲を返して人差し指でフロントブレーキレバーを握りしめる。鋭く切り返すでもなく、第1コーナーのアールをなぞるように走るCRF。そしてバンクを駆け下りるゴーグルレンズの先に、マシンが1台ずつ、コーナーの内側をつつくように集まってくる。その鼻先を掠めて、まとめて交わしていくはずが・・・727をゼッケンプレートに記したCRF150RⅡが、わずかに早く、第1コーナーをすり抜けていった。第1ヒートを制したこのマシンの前でチェッカーフラッグをくぐらないと、今日も私の負けになる。林の陰、薄暗い408コーナーへと軽く傾斜したストレートに視線を這わせると、もう1台別のマシンが、その前を走っているのが見えた。

<つづく>

プロフィール

ナノハナ274

Author:ナノハナ274
ただいまモトクロスに夢中!

最近のTEAMナノハナ

季節もすすんで...125ccにも慣れてきました (^O^)v

<これからの予定>
4/21(土):MOTO-X981
4/29(日):軽井沢MP

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