光と陰と 5(完)

2018-02-07

Tag :

<2/5の続き>
よろめきながら斜面をたどるCRF150RⅡ。その細く乾いた軌跡をなぞり、RM85Lのリアタイヤが短くリップを蹴りつけ、光の中へと着地する。その光が、カレのすぐ後ろにまで濃く長い陰を映す。その背中には、軽やかに伸びる2ストロークの排気音が間違いなくぶつかっているはずだ。

くの字を倒したようなすり鉢に、4ストロークの野太い破裂音がまき散らされて、西からの陽射しを揺らめかせる。その勢いが少し翳ったところで、ジャージの背の「148」が今度は光の中にまぶしく浮かび上がった。

そして、追いすがるように少しだけ高く跳び上がったRMが、CRFの着地する先のところまで、陰を引いてみせる。ほとんど並んだ二台のマシン。眩い褐色に陰が蠢き、インとアウトに分かれて最終コーナーをたどっていく。

MOTO-X981の午後に、共鳴しないエグゾーストノートが響きあう。ここでこうして走れる喜びを、カレといつまでも。
スポンサーサイト

光と陰と 4

2018-02-05

Tag :

<2017/12/15の続き>
得意なところがまるで違う。

ここで詰まって、ここで離されて。それはあっちもわかっている。逆光に消えてなくなった直線が、右カーブの手前になっていきなり姿を映す。走り慣れた感覚だけで走るRMが、ここで一気に差を詰めて、左、右と切り返す。シングルジャンプを2台続けて高く跳ばされて、下りながら近づく黒い左ターンに身構える。やわらかく減速を終えて、斜めに傾げたCRFが流れるように左バンクを抜けていき、減速しすぎてスロットルも開けられないRMは、またコーナー一つだけ置いていかれる。

でも、この先、最終コーナーまでは、長い直線とジャンプばかり。カレがスライドを披露できる左コーナーは・・・一つもない。

<つづく>

54×54の魅惑 7(完)

2018-02-03

Tag :

<1/7の続き>
左右のステップに立ち上がり、そのまま腰から上をハンドルバーへと折り曲げて、暗色に沈んだ直線を駆け抜ける。そして85ccマシンなら間違いなく拾っては弾かれる凸凹を、小さなピッチングモーションだけでやり過ごす。気を良くしてスタンディングのまま、黒く光ったバンクの縁をたどれば、19インチのリアタイヤが緩んだS字の黒土を真後ろへと蹴り上げる。

車体がまっすぐに立つまで待っていると、ステップアップの斜面がもう目の前にある。RMだと半クラッチで覚悟を決めないと、二つ目のコブをきれいに跳び越せない距離。でも、今日は違う。40ccのアドバンテージと長い足まわりは、右手をひねり直すだけでふわりと地面を離れ、見えなかった斜面へと静かに落ちていく。2ストローク125ccを感じる瞬間だ。

YAMAHAにも数多く乗ってきたけれど・・・強い印象が残っているのは、一台だけ。学生の頃に、友人から譲り受けたRZ250だけが今も私の一部を形作っている。多くのことを教えてもらった水冷2ストローク250ccは、ボア×ストロークが54mm×54mmのスクエアストロークのシリンダを二つ抱えていた。その54×54が作り出す123ccが2ストロークエンジンの理想形であり、ゆえに2気筒で250cc、4気筒でWGPマシンの500ccが出来上がる具合。そんなつまらない話を、今でもよく覚えている。

バックストレートを短く下り上れば、シングルジャンプの飛び出しが迫ってくる。MOTO-X981でもっとも高度の出るシングルジャンプを、排気量が増えたままにひときわ高く跳び上がる。ほんの少しだけ遠くに落ちていける高さからは、今まで見たことのない林の向こうが覗けるようだった。54×54の魅惑にひととき包まれて、最後の右ターンに呑まれていく。できれば黄色のオリジナルが欲しかったけれど・・・いいマシンに巡り会えた。

54×54の魅惑 6

2018-01-07

Tag :

<2017/12/20の続き>
まだ両手に余る車幅をどうにか倒さず立ち上げて、コース再奥の暗がりへと誘うバンクに向かい、短くスロットルを締め上げる。その縁までいってから、尻を思い切り前に放ってガソリンタンクの上に落とし、右手でハンドルバーを地面へと引き倒す。軽いはずの2ストローク125は、それでも頑なだった。

「もっと傾ければいい」

何度も聞かされて百も承知、わかりきった台詞が思わず口をついて出る。慣性を消せるほど傾いたわけでもないのに、右手が機械的に反応して、濡れた褐色に乾いた排気音が弾けた。いつものRM85Lとはまったく逆にセッティングされたキャブレターが、青い車体を前へと押しやる・・・穏やかに、でも力強く。

<つづく>

54×54の魅惑 5

2017-12-20

Tag :

<12/7の続き>
弾けるエキゾーストノートを耳で追いながら、膝に巻き付けたニーブレースをきつく締め上げる。わずかにこぼれた光にエクスパッションチャンバーが、黒く自由な曲線を描く。そこから覗くパドックも、コースへのアプローチも、その優美な曲線に切り取れている。

「多段膨張室」と呼ばれ、膨大な演算の上にその形状が決められていても、直線を持たないその造形には、どこか有機的な、生命の息吹さえ感じてしまう。チャンバーが出口に向かってまた細く絞られているのは、ここで排気ガスを押し戻して、シリンダが吸い込んだ新気を一緒に吐き出してしまわないように圧を掛けるため。排気ポートにバルブを持たない2ストロークにとって、ここまでが「エンジン」と言われるゆえんだ。

先週よりも緩んだ黒土が、フロントタイヤの行き先を気まぐれに変えてみせる。MOTO-X981で「出来の悪いコーナーは」と訊かれたら、ここだと答えられるほど、自分の悪い癖が束になって出てくる左のタイトターン。軽くすり鉢のようになった、その下りながらの進入が雨を吸って、濃く沈んでいる。フロントタイヤがつま先から払いのけられて、勢いを失ったフルサイズのアルミフレームはさらに強ばり、私の制御の邪魔をする。

<つづく>

プロフィール

ナノハナ274

Author:ナノハナ274
ただいまモトクロスに夢中!

最近のTEAMナノハナ

もっとも苦手な如月に突入!
早く暖かくならないかなぁ...(笑)。

<これからの予定>
2/24(土):MOTO-X981

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ご意見・ご感想はこちらまで

名前:
メール:
件名:
本文: