R.I.P.

2017-04-20

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HONDA嫌いで袈裟まで嫌いなワタシは、スペンサーもガードナーもドゥーハンも・・・誰も彼も最後まで、好きにはなれなかった。往年の片山敬済でさえ、気持ちはそう変わらなかった。学校を卒業して社会に出てからもロードレースへの熱は冷めないまま、2ストローク500cc4気筒がすべての頂点にあると信じては、ケビン・シュワンツの一か八かの走りに憧れ、HONDAを駆逐する姿に手を叩き歓喜していた。

いつしか「六強」と言われた時代が過ぎ、2ストローク最強伝説が崩れかけた頃、にわかに速い500ccライダーが現れた。ポケバイあがりの名は、加藤大治郎。世界を狙えるただ一人の日本人は、HONDAを駆り、「大ちゃん」と皆に愛されていた。エースライダーには排気量で勝る4ストロークのモンスターマシンが優遇される、2ストローク終焉の時代に、孤高のライディングでNSR500をいくども表彰台に上らせた彼は、茶髪に幼い笑顔がよく似合っていた。

実績が実力に追いつき、ようやく4ストロークマシンのシートを確保した2003年、ホームグラウンドの鈴鹿シケインからドクターヘリで移送され、そのまま帰らぬ人となってしまった。モトクロスを始めたワタシは、74に2を付けて、274でレースを走るようになった。「大ちゃん」にあやかるように。HONDA乗りなのに大好きだったGPライダーは、その年の4月20日、永遠の眠りについた。
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Another tomorrow 4(完)

2017-04-12

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インタークーラーターボのレスポンスに彼女の左足が一瞬遅れて、車体が飛び出した。コンソールに重ねていたカセットテープもバラバラになって、シートの下にこぼれ落ちる。あわてた彼女に手のひらを見せ、シートベルトを外してから、ひとつひとつ拾い上げた。そのなかに「Out Of This World」とマジックで手書きされたひとつには、彼女のために用意してきたEUROPEのアルバムが収めてある。

テープを入れ替えてすぐに、ストリングスの奏でるイントロで曲が始まった。スローなバラードがそのまま、濡れた高音ヴォイスに引き継がれると、「いい曲ね」と運転席から声が漏れた。

たとえ世界が壊れても、明日、僕の傍に居てくれるかい。

「夢追人の明日を支えておくれ」と、旋律に切々と語りかけるヴォーカル。僕の未来に君はたたずみ微笑んでくれているというのか。その日があるとすれば、いったいどんな明日なのか。

時は流れて、その明日にこうして今、立っている。Tomorrowがいつも明るい日を刻むばかりじゃない。ただ、けして暗い日でもない。夕べ、二十余年ぶりに乗せた助手席の彼女に、USBメモリから曲が流れた。すっかり年を重ねた彼女の口は閉ざされたまま、瞳にかすかな笑みをたたえただけだった。

君は、今も覚えているだろうか。もう25年も前の初めての夜のことを。

Another tomorrow 3

2017-04-11

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一夜が明けて、けだるさの向こうに、艶やかな影が浮かんでいた。北陸の雪は、いつしかガラス戸を叩く雨に変わっていた。夕べのことが、伏せた彼女の瞳に赤々と灯されている。シーツを剥いで、やわらかなふくらみに頬を寄せると、少しひんやりしていた。アタマがぼうっとして、彼女の言葉がうまく聞き取れなかった。

長旅と、髪を濡らしたままタイヤチェーンを外していたせいで、すっかり風邪を引いたらしい。途中、風邪薬を買い求めてからは、彼女にハンドルを預けて、助手席に身を屈め込んだ。山越えはできないから、南アルプスを大きく迂回するルートを選んで、あとは彼女に揺られるまま、ウインドウの雨粒を飽くことなく眺めていた。

<つづく>

Another tomorrow 2

2017-04-10

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<2016/3/22の続き>
「あめ」と黒く書かれた暖簾にカラダを隠して、丸い顔だけツンとのぞかせて。昨夏の思い出に、色あせた彼女の笑顔がにじんで溶ける。あの日のように明るいヒカリの下で、木綿地の暖簾の白は本当に眩しかった。この佇まいだけは、きっと忘れることはない。

テレビの旅番組で見た花街は、あの頃と少しも変わらない。飴色にくすんだ格子戸に、真っ白な障子紙。置屋風情に三味線の音でも流れてくれば、時間さえ遡れてしまう。二人の思い出は、そんなひがしやま茶屋街からさらに北へと外れていった先にある。

なぜ訪れたのか、今ではまったくわからない。ただ、北陸に一年だけ暮らしていた記憶と誰も知らない、遠くの町への思いが奥底にあったのかもしれなかった。とにかく金沢にほど近い、国道沿いのネオンにウインカーを落としたことは、たしかに覚えていた。

<つづく>

晴走雨読

2017-04-09

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そぼ降る雨の中、健気にレースを走る者もあれば、こうして部屋に寝ころび、灰色のガラスを眺めるだけ者もいる。

湿気た花火のように気持ちはうなだれ、外に出かける気にも、ガレージに入る気にもならず。そしてKISSを鳴らし、ストラトを握ることもなかった。ひんやりとフローリングに付けた背中から、チカラが抜け出ていくような日曜の午後。しばらく白い天井を見ていたカラダをゆっくりと起こして、マガジンラックに刺さった雑誌に手を伸ばす。

そのまま腕を天井に突き出し、買ったまま、ずっと放っておいたBRUTUSの「読書入門。」のページを繰りながら、雨音に耳を澄ます。晴走雨読。こうしてまた、マガジンラックが膨らんでいく。

プロフィール

ナノハナ274

Author:ナノハナ274
ただいまモトクロスに熱中!

最近のTEAMナノハナ

炎の9連休も遊びまくり (^O^)v

<これからの予定>
4/29(土):MOTO-X981
5/1(月):MOTO-X981
5/2(火):MOTO-X981
5/3(水):谷田部

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