16インチという名の媚薬

2017-07-13

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道端の緑が揺れることもなく凪いでいるはずの夕暮れに、突然真横から風がぶつかったみたいに、車体ごとBongoのハンドルが左に持っていかれた。それは、ひび割れたアスファルトにタイヤが沿って走っているだけ、たしかに風なんて吹いてない。細かな隆起とへこみまで漏らさず全部拾い上げて、それを鈍くなったパワステのハンドルへと伝えてくる。その異常なまでの過敏さに、遠い昔の記憶が呼び覚まされる・・・。

交差点をただ左に曲がるだけで、ヒザが路面をこすり、コーナーリングに酔えていたあの頃。まだカラダを内側に落としてもいないのに、フロントタイヤが勝手に切れ込んで、勝手にコーナーを切り取ってはまったく起き上がる気配を見せないマシンがあった。「あて舵」なんて余計なものが染みついたカラダに、すいぶんとキテレツな個性だった。ほとんど転倒する直前、ふいに車体を起こした借り物のマシンは、そこからレブカウンターの針を一気に跳ね上げる。初期型のSUZUKI GSX-R。フロントに16インチを履くイカれた、いや何ともイカした奴だった。

デタラメと紙一重のマシンが闊歩していた時代。後ろのシリンダーがよく焼き付く3気筒の2ストロークなんてのも走っていたっけ。リヤが18インチで、極端に前につんのめったようなマシンも、いつしか前後17インチに落ち着いて・・・あまたの綺羅星たちは、西からの風に吹かれて、ついに見えなくなってしまった。今、落ち着きのないBongoのYOKOHAMAが、あの頃のマシンのようにアスファルトを楽しませてくれている。
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房州の恋心

2017-06-17

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鋸南町の南の外れから鴨川へ。

海岸線を離れて穏やかにアスファルトを流していると、道はすぐに、緑を切り取る急峻なワインディングに変貌する。半島を東西に渡る県道は、まったく通りがなくて、夏を前にした休日にはさほど利用価値がないのかもしれなかった。さっきまで後ろに着いていたはずの軽自動車もさっさと居なくなり、2車線を分かつ白い点線だけが右に左にときれいなアールを描いては消えていく。

履き替えたばかりのYOKOHAMAが、ハンドルを扱う両手に、その軽さを伝えてくる。ただ、1.8Lのガソリンエンジンでは、エアコンを切っても5速ホールドが許されない。あと少し、ブラインドを2つか3つ抜けていけば鴨川市に入るといった辺りまで上ったところで、平坦な切り返しの先が小さく光った。

ヒカリはそこからあっという間に近づいて、集合管とエンジンの腹を見せつけるように翻り、バックミラーの彼方に見えなくなった。たまにはマルチエンジンを走らせてみたいーーバックミラーに視線を残したまま、そうつぶやいてみた。開け放した窓から聞こえる、伸びやかなエグゾーストノートにのせて。

短い旅で始まる、ちょっぴり長い旅

2017-04-29

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KUSHITANIのカントリージーンズに綿のパーカーを合わせて、上から赤いKUSHITANIのGORE-TEXジャケットを羽織る。足下のGORE-TEXブーツにも、両手にはめたデニムライクなレザーグローブにも、同じKUSHITANIのロゴが光り、全身をKUSHITANIに包まれて、GROMのクラッチレバーをゆっくりと放す。真新しいMICHELINが路地のアスファルトを蹴り出し、陽光の中、4ストローク125ccがなめらかに走り出す。

遅く起きた朝、昼が近くなってから繰り出した通りに、往来は少ない。制限速度を少し越えて走るシートの上、ゆるんだ袖口から風が流れ込んでも、もう凍えることもない。すぐ脇を用水路が追いかけ、そこから左右に水を引く田圃の数々。広がる水田の中を真っ直ぐに延びるアスファルト、その遙か先を逃げ水が歪みながら駆けていく。土の乾いた匂いに、かすかな潤いが交じり、短い旅をヒカリが誘う。

夜に惑う

2017-04-28

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晴れから午後は天気が急変
雷雨や突風、雹にもご注意

長い休暇はどうやら、荒れ模様で始まるらしい。冬の名残と夏の気配が、春の終わりに悪戯。BongoにRMを積んではみたものの、どうにも気持ちの乗りが悪い。ならば、シートに包まるもう一つの黄色でも転がしてみようか。せっかく足元に、まっさらのビバンダムが跳ねているのだから・・・ちょいと皮をむきに、近くを散歩も悪くない。

もちろん雨が落ちてくるまでの晴れた空の下。さて、どちらの黄色で、どこを走ろうか。遅い夜に、迷いまどう。

The Isle of MAN 3(完)

2017-04-16

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<2017/4/14の続き>
薄桃色のカウルに包まれたマシンと、それを駆る日本人。そして、傍らで支える人の微笑み。時折流れてくるFacebookには、そんなカットとともに、モトクロスコースで行き会う彼女とは違った横顔が、小さく写り込んでいた。声援を送るのではない。60kmを越える“周回コース”を「いつか走ってみたい」。そう声に出したら、いったいどんな顔をするだろうか。いつ会えるかわからないけど、マン島に吹く風の匂いと色を。そして、マシンの奏でる音と震えを。そんな彼女に訊ねてみたい。

プロフィール

ナノハナ274

Author:ナノハナ274
ただいまモトクロスに熱中!

最近のTEAMナノハナ

秋の夜長を楽しむ前に、秋の長雨の時季になってしまった...。

<これからの予定>
10/21(土):MX408!?
10/29(日):MCFAJ!

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