54×54の魅惑 5

2017-12-20

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<12/7の続き>
弾けるエキゾーストノートを耳で追いながら、膝に巻き付けたニーブレースをきつく締め上げる。わずかにこぼれた光にエクスパッションチャンバーが、黒く自由な曲線を描く。そこから覗くパドックも、コースへのアプローチも、その優美な曲線に切り取れている。

「多段膨張室」と呼ばれ、膨大な演算の上にその形状が決められていても、直線を持たないその造形には、どこか有機的な、生命の息吹さえ感じてしまう。チャンバーが出口に向かってまた細く絞られているのは、ここで排気ガスを押し戻して、シリンダが吸い込んだ新気を一緒に吐き出してしまわないように圧を掛けるため。排気ポートにバルブを持たない2ストロークにとって、ここまでが「エンジン」と言われるゆえんだ。

先週よりも緩んだ黒土が、フロントタイヤの行き先を気まぐれに変えてみせる。MOTO-X981で「出来の悪いコーナーは」と訊かれたら、ここだと答えられるほど、自分の悪い癖が束になって出てくる左のタイトターン。軽くすり鉢のようになった、その下りながらの進入が雨を吸って、濃く沈んでいる。フロントタイヤがつま先から払いのけられて、勢いを失ったフルサイズのアルミフレームはさらに強ばり、私の制御の邪魔をする。

<つづく>

光と陰と 3

2017-12-15

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<12/11の続き>
午後3時30分、残り30分の走行枠。西日の射すコースを走るのは、二人だけになった。

ヘルメット越しに聞こえるのは、なだらかな曲線を弾みながら刻む、4ストロークの重たい排気音。その音と背中がまた、左アールを大きく外へと回っていく。最後のコブを小さく越えて、そのCRFがたどる弧線の内側に、鋭角な軌跡を描いてみる。そして、左右に並んでシングルジャンプを跳び出して、ビッグテーブルトップの斜面へ加速。前に出たはずのHONDAが、音だけ残して、陰にいなくなった。その音に引かれるように、黒い壁にフロントが掛かった瞬間、破裂音が消えてなくなり、空に黒く、車影だけが浮かんでいった。

<つづく>

光と陰と 2

2017-12-11

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表の泥が削られ落ちて、濡れたバンクがうっすらと光る。その縁にリヤタイヤをあわせ、再び半クラッチから一気に斜面へと立ち上がる。陽を浴びた勾配にはCRF150RⅡの影が這い、エグゾーストノートを散らして、木々の陰の中へと跳び抜けていく。わずかに排気量の下回る2ストロークマシンが、追いすがるように大きな弧を描いて、テーブルトップを跳び越える。イン側に溜まっていた雨水がすっかり抜けた第2コーナーを、それでもカレはアウト側にマシンを寄せていき、負けじと大きな弧を描いて泥を掻き上げる。そのフロントタイヤが目の前を掠め、見えない斜面に音だけが走っていった。

<つづく>

光と陰と

2017-12-10

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傾いた陽が、褐色に陰影を落とす。その光を背に最終コーナーを翻し、左の人差し指を軽く引いて、前を走る4ストロークに近づいた。右に緩くベントした先は、一つコブを越えると短い直線になる。少し屈めた背中とマシンの後ろ姿が、現れた逆光にくっきりと浮かび上がる。そして、そのジャージにプリントされたゼッケンをぼんやり眺めながら、第1コーナーへと落ちていく。

<つづく>

54×54の魅惑 4

2017-12-07

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<12/1の続き>
腰ではなく脇腹に傾げるマシンをレーシングスタンドに載せて、コースに延びるスロープをゆっくり振り返る。葉とも枝ともつかない細い緑がかすかにそよぎながら、朝の光を遮っている。夏の間、あれほど癒されたはずの杉木立も、今はただただ邪魔なだけ。そして、遠くでCRF250Rが音を上げて、湿った朝の気配に砂利を巻き上げていく。肩越しの薄っぺらな陽射しが、YZ125の黒いシートに斜めに線を引いてみせ、スニーカーの底で、地面がぐにゃりと崩れて揺れた。

左腕に回ったG-SHOCKの針は、9時を大きく越えたところで止まっている。その時が、4ストローク250ccの吐き出す音に震えていた。

<つづく>

プロフィール

ナノハナ274

Author:ナノハナ274
ただいまモトクロスに夢中!

最近のTEAMナノハナ

いよいよ花粉の季節に突入!
ここから3か月...孤独な戦いが、今始まる(笑)。

<これからの予定>
3/4 (日):HERO'S?
3/10(土):MOTO-X981
3/21(水):MOTO-X981
3/25(日):MOTO-X981

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