manmi 3

2017-08-24

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2日掛けて目にする日本海、5月の海は寄せる波も穏やかに広がっていた。

北海道生まれのカノジョは、北の大地が染みついたように大らかで、素直だった。バイクを操るときも、それは変わらなかった。「開けろ!」と言われればスロットルが止まるまで一気に全開、「ブレーキ!」と声を荒げればレバーとペダルが簡単に二つのタイヤをロックさせる。そんな風だった。そして、ようやく教習所を卒業したカノジョは、白地に淡い紫のワンポイントが入ったヤマハのオフロードバイクを選んできた。そのカノジョを隊列の中に押し込んで、はるばる能登までやってきたのだ。初めてのツーリングに、とんでもない長距離を走らせてしまった。それでもカノジョは、いつも笑っていた。

サイドスタンドが砂に埋もれてしまわないように、適当な空き缶をつぶして下に敷いて、マシンを波打ち際に停めてみる。残りの連中も同じような空き缶を見つけては、海を背にマシンを立てていく。そして、思い思いに海とマシンとの構図を決めては、慎重にフィルムカメラのシャッターを切っていく。さっき見たカワサキ乗りが、何度もマシンを動かしては「立ち位置」を調整していた光景に、そんなことを思い出していた。被写体は愛機だけ、今も昔もライダーはナルシストだ。砂を走る白波に引きずられるようにして脳裏に浮かんできた、カノジョの大胆不敵なアクセルワークに、ふと口元がゆるんだ。

<つづく>

manmi 2

2017-08-23

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<8/15の続き>
当世風の音を出さないクルマに混じっては、数台が千鳥に固まって、思い思いのエグゾーストを落としながら走るツーリストたち。ブームに乗ってバイクを手に入れ、北は北海道から西は四国まで一緒に旅した仲間は、すっかり家庭の中に収まって・・・乗り続けているのは、一人だけになってしまった。そんなワタシも、遠くへ旅するバイクを手放してからは、関東を飛び出すこともできずにいる。

12インチを履いた125ccの単気筒では、渚を走るこの道にたどり着くのもままならない。その目の前を、最新のフルフェアリングマシンに、正立のフロントフォークを持つ少し古いオフロードバイクが斜めに着いて過ぎていく。昔日を懐かしむ瞳が見送る後ろ姿は、ヘルメットから短く髪がのぞいていて、風に小さく揺れていた。それは、あの頃のカノジョの背中に、とてもよく似ていた。

<つづく>

manmi

2017-08-15

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半島をめぐる旅に選んだ宿は、千里浜沿いの松林に、横に長く建っている。まるで林の中に身を隠すように、浴場から食堂、大広間、そしてすべての客室を背の低い二階建てに詰め込み、細いアスファルトに寄り添い建っている。潮風の漂うアスファルトには砂がかぶり、そのまま砂の転がる方とは逆に降りていけば、茶色に締まった海砂の上、ツーリストの駆る二輪車が、薄い轍を引いて走っていくのが見える。その向こうに広がる海は、浅瀬に子供連れの戯れる姿を映して、夏の陽に輝いていた。

<つづく>

初めての夏 4(完)

2017-07-20

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二つの明るいライトが続けざまに砂利を踏みしめていく。

クラブハウスからこぼれる灯りが届かなくなると、手にしたマグライトだけが頼りになる。真っ暗なパドック。目の前の町道を走るクルマもなくて、どこまでも続く静けさの中、青いSIERRA DESIGNSのテントだけが一歩一歩近づいてくる。

フライシートのジッパーを上げて、そのままポールに巻き付ける。前室にカラダを屈めて、ジッパーのとおりに右手で半円を描くと、薄いリップストップナイロンが、テントの内にパサリと落ちた。

そのままアルミのロールマットに寝ころぶと、温いビニールの臭いがした。メッシュを抜ける夜気が、ほんのり湿っている。MOTO-X981で過ごす、初めての夏。この夏の夜がまた、懐かしい話のひとつになる。瞳を閉じた耳に、夏の夜の声がそよいでいた。

初めての夏 3

2017-07-19

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ビールのホップか焦げた肉片か。
それともただ、笑いすぎただけなのか。

今度はほどよく脂の残った豚ロースをつまんで、苦く乾いた喉にまた琥珀で流し込む。木から木へとぶら下がった灯りは、いよいよ夜に映えて、テーブルの上が、アルミの缶で埋められていく。YouTubeがさっきからずっと、昭和を賑わせたミリオンヒットを流し続けて、ワタシより一回り年下のニセマナブだけが、まったく乗れない顔で、独り肉をほおばっている。

そのカレが、女性専用車両に乗り込んでしまった時のことを話し始めた。そんなどうでもいい話が、どうして始まったのかもわからない。でも、みんな大きな声で笑っている。幼い頃からモトクロスを走ってきたkyo-chanが、キッズ時代を振り返っては、matsunagaさんが、それをすっと遡る。「A型とB型がAB型を産んだの」と鼻を膨らませたざりままの隣で、A型のざりぱぱが違うことをしゃべりだして、独りで笑っている。こうなると新参者になってしまうkojimaさんに、saitoさんが真っ赤なコークを黙って手渡した。

そして・・・ここに居ないはずのkenyaさんが、パドックの武勇伝で話を盛り上げると、夜会の灯がゆっくりと落ちていく。「一緒に走るのが居ないと・・・モトクロスもつまんないよね」、誰かが静かに笑った。

<つづく>

プロフィール

ナノハナ274

Author:ナノハナ274
ただいまモトクロスに熱中!

最近のTEAMナノハナ

海外遠征に向けて、鋭意前倒し中!

<これからの予定>
9/27(水):NCML!

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