弐千の誘い

2017-05-10

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恩納村の極上なビーチは目で追うだけで、仕事を終えたカラダを折り畳んだまま、レンタカーに揺られて那覇まで急ぎ帰ってきた。ホテルに戻ってすぐ外に出ると、淡く温い宵闇が国際通りを包み始めていた。そして、すっかり泡盛に酔い、人とネオンで賑わう通りを千鳥にホテルまで歩いていくと、そこからの記憶は、ほとんど残っていなかった。

去年の春の話だ。

次の朝は、あいにくの雨模様。それでもフライトまでは数時間、初めて踏みしめた沖縄の地を、せめて沖縄らしい景色をこの瞳の奥に留めておきたくて、急いでチェックアウト。慣れないモノレールで数駅、空港とは反対方向へ移動して、駅を背に大きな起伏を歩き出した。いくつか坂を上がったところで曇天の向こうに、朱色の造作が降り出した雨に佇んでいた。

今日、自販機の釣り銭に出てきた紙幣を見て、そんな春の日を思い出した。ひさしぶりに手にしたその札には、あの日の壮麗な門構えが丁寧に描かれていた。

五月の夏

2017-05-08

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空は青いまま雲ひとつ泳がず、太陽がゆっくり煌々と、南天から下りてくる。雨上がりの月夜が約束した好日は、夏に満ちあふれ、軽く瞼を閉じていないと、見るものすべてがヒカリに白くトンでいってしまう。若い薄葉を突き抜けて、歩道に落ちる陽は強烈だ。照らされたアスファルトの上をアリが一匹、ジグザグに黒い陰に向かっていく。朝には褐色に濡れていた土さえ、もう砂になって風に払われる。

長い休みから醒めるには、ちょうどいい昼下がり。薫風が眩しく揺れている。

旅の終わりに雨が降る

2017-05-07

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携帯にアラームメッセージが届く前に、黒ずんだ雲から大粒の雨が落ちてきた。湿った風に土埃が混じり、雨の匂いが漂う。時折、空が唸りを上げると、さらに雨足は強くなり、濡れたアスファルトに雨が流れ出す。

にわかに立つ西風が少し向きを変えて、北から冷気を運んでくる。ずっと初夏を思わせた休暇が終わるのに合わせたかのように、雨は短く冷たく降り続いた。また明日、太陽は夏日を連れてくると言うけれど・・・遊び疲れたカラダに今だけは、湿気た雨音が心地よかった。

名胡桃の咆哮

2017-05-06

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湯沢、苗場とつないで、「雪国」のトンネルを逆さまに出ていった。野沢温泉から引き連れた雨雲はようやく切れて、アスファルトにも薄日の影が映る。桜木の花びらが風に舞い、花桃の濃い彩りが車窓を流れていく。

南へ国道をたどるほどに、薄雲は晴れて陽射しがまっすぐ注ぎ、ガラス越しの頬に熱がこもり赤くなる。赤谷の湖上には鯉が並び泳ぎ、ますますヒカリは眩く辺りの新緑を包み込む。

夜陰に走ったことのない月夜野に近づきながら、道はステップダウンしていき、名胡桃城趾からは一気に利根川の河畔まで坂を駆け落ちる。その対向車線を大型バイクが一台、勾配をものともしない力強さをエグゾーストに乗せ、あっさり走り去っていった。

消えゆく4気筒の咆哮、小さくなる背中の向こうに赤い六連銭の軍旗がはためいていた。

戸狩の宵闇

2017-05-05

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山の端が薄く桃色に染まり、アスファルトが鈍色に沈み出す。

千曲川に沿う国道を斜めに下りて、飯山線の二本の軌条と平行して広がる水田の中、北へと走り抜けていく。融雪機の埋められた道は、路肩に向かって赤茶けた波線を連れ添い、にじんだ錆色のセンターラインを緩やかに描き続ける。目指す北信濃のスキー場には、大型連休の喧噪も届かない。

美人の湯と謳われるリゾートに、灯る明かりは、まばらに小さい。黄昏に一番星が瞬いて、山の斜面へと延びる通りを明るく照らすのは、いつしか自分のヘッドライトだけになっていた。

プロフィール

ナノハナ274

Author:ナノハナ274
ただいまモトクロスに熱中!

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“汚れた”英雄になる勇気もなくて...ノーモトクロス。

<これからの予定>
5/20(土):MOTO-X981
5/27(土):MOTO-X981

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