RVFの風

2017-04-13

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4ストロークV型4気筒。398ccを抱いたトリコロールが、国道の反対車線を加速していく。スクリーンに身を屈め、遙か前方を見据えるAraiのスモークシールドに、陽射しが割れて落ちる。陽は高く上り、アスファルトに濃く小さな影を連れて、低く濁ったエグゾーストが走り去る。どこまでも伸びやかな並列4気筒のそれとはまるで違う、聞き慣れない不揃いに爆ぜる音はしかし、真夏の宵闇によく似合っていた。それも遠い記憶だ。

夏と言うには早すぎる空に、ヒカリが散り散りに眩く、雲を掃いていく。どこかでヒバリの声がしたと思ったら、次の曲のイントロだった。ウインドウを下げて、消えゆく音に耳を澄ませる。頬を触る風は、まだ冷たかった。

春まだ浅き ~後編~

2017-04-03

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シフトペダルを踏み込み、GROMでアスファルトを蹴り出す。原付二種のゆるい加速が、ほどよい加減で通りを駆ける。空は霞んで、陽射しの輪郭も、路に落ちる陰も、うっすらぼやけて続いてく。法定速度を超えようと流れていけば、襟元のわずかに露わな首筋に風が冷たく触り、ジャケットにくるまれていた温もりが真後ろに剥がれていく。しばらく走って、赤信号の日だまりに停まると、タンクを挟んだヒザの間から、そして肩口に降る陽射しから、のんびりと温もりが戻ってくる。信号が青に変わり、先頭を切って走り始めればまた、首に風が当たり、突き出しているヒザの先から、冷気が伝ってくる。

その繰り返し。

浅き春を泳ぐように、雲ににじんだ陽を仰ぎ走る。

春まだ浅き ~前編~

2017-04-02

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少し時代遅れな、蛍光オレンジのフリースジャケットの上から、薄いGORE-TEXを羽織る。KUSHITANI製の赤いそれは、しばらくバイクに乗らなくなった知り合いから譲ってもらったもの。一緒に揃えたワタシのそれは、もう色がトンでしまっていて、引き替えに処分させてもらった。シンプルなスタンドカラーに、フルメッシュの裏地。それでも真夏は袖を通す気になれないほど、しっかりとカラダを包むライダースジャケットに、春の陽がやわらかくとまり、ほんのりカラダを温めていく。単気筒エンジンがアイドリングを続ける傍らで、アゴまでジッパーを引き上げて、ゆっくり視線をフルフェイスにくぐらせた。

<つづく>

さらば、ぶいまっくす!

2017-02-20

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「あのバイク、なんて言うの」
「ん?どれ?」
「さっき、ぼくたちのこと追い抜いていったの」
「ああ、V-MAXかぁ」
「ぶいまっくす?」
「ヤマハの1200cc、軽トラの2台分だぞ」
「速いの?」
「速いさ!さっき、速かったろ?」
「SRVより速いの?」
「はははっ、あっという間に置いてかれちゃうよ」
「一番速いの?」
「ああ、速いと思うよ」
「ぼく、大きくなったらぶいまっくすに乗る」
「おお、そりゃあいい」
そんな憧れだったマシンが生産終了を迎える。北海道からも少し寂しげなコメントが投稿されていた。さらば、ぶいまっくす!

まっこと不自由なモノなり

2017-02-02

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夕べの風が勢いを増して、乾いた田畑をすくい上げる。砂塵がアスファルトを横切り、前を走るワゴン車が、大きく左によろめいた。その風に巻き上げられるように、陽射しは高くから眩しく降り注ぎ、空に遮る雲はひとつも浮かばない。透明な冬の色が揺れている。

市街地を抜けて、道が勾配とともに沼を渡りはじめると、いっそう強く吹き荒れる。覗けば小さな白波がいくつも水面をざわつかせ、左右に落ち着きをなくしたハンドルに思わずチカラが入る。そして、細めた視界の中、路肩にへばりついている人影が映り込んだ。

舞う砂埃から逃げるように身を屈めて、ゆっくりと男が独り、バイクを押し歩いている。吹けば倒れて、降れば濡れる。足を出さなきゃ止まっていられない。こんな不自由な乗り物の、どこに惚れてしまったか・・・大きく右に避けて追い抜きざま、短くホーンをひとつ鳴らしてみる。

シールド越しの瞳が、笑ったような気がした。

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ナノハナ274

Author:ナノハナ274
ただいまモトクロスに熱中!

最近のTEAMナノハナ

イベント多しの水無月...。
平日にも走ろうかな?

<これからの予定>
6/25(日):MOTO-X981

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