ばくだん 2

2017-11-09

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<10/8の続き>
私の左にkei、その左にまた一つ席を空けて、女性二人が白髪頭の男性を囲んでいる。身内らしい物言いで、さっきから女二人が男を困らせ続けている。そして、仕事帰りの中間管理職風情の二人が、私の右隣で刺身をつつきながら、焼酎を注いだグラスを揺らしている。左も右もどちらの組も、淡い照明にとけ込んでいて、私とkeiは互いの椅子をすっと引き寄せた。

<つづく>

雨のあわいに 6(完)

2017-11-04

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雨にやられてばかりの週末にうんざりしても、ひとたび乗ってしまえば、それは風のように消えてしまう。ささやかな晴れ間が覗く空の下、笑顔で昼をつつき始めるパドック。YZの彼だけが、担架に寝たまま。ただその彼も、倒れるまでは楽しく走っていたはずだ。ひさしぶりの再会と楽しい時間の共有。短くも激しい雨と雨の間(あわい)は、それでも土の感触を思い出すには十分で、フェンダーの裏側にこびりついた泥を掻き落としながら、心は満たされていた。

昼休みが終わる頃になって、陽は遮られ、また雨粒が落ちてきた。セルを回したKTM450Fだけが、YZの彼を気遣うように静かにコースへと走っていく。

ori-chanは午前中で上がり、雨を見上げるkyo-chanも、体じゃなくてマシンの傷みに浮かない顔つきだ。そして、もたもたしている私の耳には、コースで吠える4ストロークサウンドを切るようにして、サイレンの音が聞こえてきた。まるでチェッカーフラッグのように、音は揺れながら、ゆっくりと近づいてくる。それを合図にkyo-chanが、alpinestarsのバックルを外し始め、私は、脱いだジャージとブレストガードを荷室に放り込む。近づくサイレンの音を包むようにまた、雨が音を立て始めた。

雨のあわいに 5

2017-11-03

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saitoさんがコースにユンボを持ち出し、運転席にYZの彼を乗せて、キャタピラの鈍い音とともにパドックへと引き上げていく。ori-chanの駆るCRF150RⅡも、ユンボと一緒になってコースから出ていってしまった。

残ったのはRMと、kyo-chanのCR85改だけ。ヘルメットの中、ひとつ大きく息を吐いて気持ちを入れ直すと、まだ全開にするには気の引ける、RMのスロットルを少しだけ大きく開いてみる。乾きながらもくぐもったサウンドが、湿った林の中に響いて、リアタイヤが褐色を蹴り上げた。その音に触発されたのか、CR85改が、いつものカン高いエキゾーストノートを木々の間から空へと吐き出し、再び走り始めた。CRと半周開いていた間も、すぐになくなり、最終コーナーの立ち上がりでついに、真後ろに着けられた。

スロットルが動かなくなるまで一気に開けてやりたい気持ちをこらえて、第1コーナーからの立ち上がり、斜面をゆるゆると上っていく。背中にCRの排気音を感じながら、そのまま第2コーナーへ。RMがぎこちなく回るインサイドのラインの左側、誰も走らず泥がゆるんだままのインベタに勢いよく突っ込み、前後のタイヤを泥に沈ませながらCRが翻る。そして、タイヤに褐色で水混じりの泥を絡ませたまま、それを気にする風でもなく一気にテーブルトップを跳び越えると、第3コーナーをアウトにはらむように立ち上がっていく。

呆気にとられてばかりもいられない。心許ないスロットルワークで後を追うようにして入ったフープス、その目の前で真横を向いたCRが、いきなり逆立ちした。#78のサイドゼッケンが目に映ったのは一瞬だけ。次の瞬間にはフロントタイヤがコブの狭間に落ちてリアタイヤが宙へと舞い上がり、kyo-chanの体はあっけなくシートから放り出されてコース横の土手に叩きつけられた。その後を、縱に回転する車体が襲いかかるように飛んでいく。「ヤッたぁ」と思うよりも早く、前後のブレーキに手足が動いて、倒れるCRの真横にRMが近づいていった。

RMが停まる前に起き上がり、右手を高く挙げるkyo-chan。てっきりうずくまったままと思っていたら、愛機が降ってこなかったのも幸いして、ゴーグルのノーズガードで頬を切っただけ。まったく頑丈にできているのか体の鍛え方も違うのか。とにかく無事だった。打ち身のほかに大した怪我もなく、コースへと戻っていく。むしろ、不自然な回り方をして、マシンがひどく傷んでしまった。リアフェンダーが割れて、大切にしていたサイレンサーもチャンバーとのつなぎ目から大きく外に曲がってしまい、新調したヘルメットのバイザーは傷つき、塗装も剥げてしまった。

<つづく>

雨のあわいに 4

2017-11-02

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もう一度、今度はビッグテーブルをなめるように越えていくと、やっぱりさっき見た光景が目の前にあった。今度は迷うことなくRMを逆側、バックストレートの縁に立てかけると、コースにはみ出ているマシンに駆け寄り、引き起こす。フルサイズとはいえ、2ストロークマシンはこんなときにありがたい。さして重さを感じることなく起き上がったマシンを反転させて、自分のへそくらいあるその高いシートに、コースサイドの斜面を使って跨がった。

しばらく寝ていた2ストローク125ccは、私の短い右足で何度キックペダルを踏み下ろしても、まったく息を吹き返す気配がなかった。「先が思いやられる」と独りごちながら、いざ押してみるとそれほどには軽くない車体を、パドックまで力ずくに押し上げていく。腕に残る火照りに負けて、マシンをレーシングスタンドに抱え上げられず、リアのアクスルシャフトにスタンドを噛ませただけで、すぐにコースへ引き返していくと・・・私のRMを軽々と押して歩く、お仲間の姿が見えてきた。

<つづく>

雨のあわいに 3

2017-11-01

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そこからひとつテーブルトップを越えれば、日向にインフィールドが広がっている。不思議なくらいに乾いたフープスを軽めにいなして、左の第4コーナーを外側のラインでたどっていく。そして、シングルジャンプをなめて、長い斜面から一気にビッグテーブルを跳び越える。長年の好敵手、ori-chanの見ているその前で、きっちり跳びきってみせると・・・着地に向かってフロントを落とし始めたRM85Lの先で、青いマシンが1台、腹をこちらに晒して寝ころんでいるのが見えた。

FMXのランディング寄り、今日はほとんど使われない左側のラインの外にYZ125が横たわる。投げ出されたライダーが、その傍らにへたり込んでいる。着地してすぐにゆるんだ路面の待っているここで、「前転」を喰らったらしい。その場にRMを停めてヘルメット越しに声をかけると、すぐに「大丈夫」と短く返ってきた。その言葉を信じてRMをスタートさせたけれど・・・奥から戻って長い直線の上から見れば、ライダーはへたり込んだまま、ずっと動かないでいた。

愛機の青い車体も、リアタイヤがコースの上に残ったままだった。

<つづく>

プロフィール

ナノハナ274

Author:ナノハナ274
ただいまモトクロスに熱中!

最近のTEAMナノハナ

フルサイズ、なかなかにデカくて、何かと大変だ。

<これからの予定>
11/23(木):MOTO-X981

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